![]() BRCA1mRNA発現による、シスプラチンによるネオアジュバント化学療法で治療されている膀胱癌患者の生存期間の予測
专利摘要:
本発明は、BRCA1の発現レベルを基に膀胱癌に罹った患者の臨床転帰を予測する方法であって、BRCA1発現レベルが高いことが良くない予後を示すものである方法に関する。さらに、本発明は、特に腫瘍の外科的除去に先立って化学療法で治療されている患者におけるBRCA1の発現レベルを基に、膀胱癌に罹った患者の化学療法に対する反応を予測する方法に関する。 公开号:JP2011512147A 申请号:JP2010547185 申请日:2009-02-20 公开日:2011-04-21 发明作者:ミゲル、タロン、ロカ;ラファエル、ロセル、コスタ 申请人:パンガエア、ビオテック、ソシエダッド、アノニマPangaea Biotech, S.A.; IPC主号:C12Q1-68
专利说明:
[0001] 本発明は診断および治療の分野に関し、特に、膀胱癌患者からの試料における特定のバイオマーカーの発現に基づいて、該患者に個別診断および治療を提供する方法に関する。] 背景技術 [0002] 膀胱癌は、米国だけでも毎年新たに50,000人が診断されている、最も一般的な新生物の一つである。ほとんどの膀胱癌は移行上皮癌(膀胱の内壁を通常は形成する細胞で始まる癌)である。他のタイプとしては、扁平上皮癌(薄く平らな細胞で始まる癌)および腺癌(粘液やその他の体液を生成して放出する細胞で始まる癌)が挙げられる。扁平上皮癌および腺癌を形成する細胞は、慢性的な刺激および炎症の結果として膀胱の内壁で発生する。] [0003] 膀胱癌は通常、手術(経尿道切除、根治的膀胱切除もしくは膀胱部分切除)、放射線治療または化学療法で治療する。局所進行膀胱癌の患者の場合、ネオアジュバント化学療法に続いて膀胱切除を行なうと手術のみの場合に比べて生存期間が改善されるが、病的反応(pT0〜1N0M0)を獲得している患者においては特にそうである。] [0004] Bellmunt et al (Ann. Oncol., 2007, 522-528)(非特許文献1)には、DNA修復に関与する様々な遺伝子の発現レベルを基に、化学療法に反応する進行性および転移性の膀胱癌患者の生存期間を予測する方法が記載されている。この著者らは予後マーカーとしてERCC1を同定することはできたが、RRM1、BRCA1およびカベオリン−1等の他の遺伝子の発現レベルと生存期間との相関関係については何ら確認することができなかった。] [0005] Urushibara et al (Jpn J Clin Oncol., 2007, 37:56-61)(非特許文献2)では、hsp60の発現レベルを、膀胱切除およびネオアジュバント化学放射線治療後の膀胱癌患者の生存期間を予測するための独立因子として使用することができる、と報告されている。] [0006] Takata et al (Clin. Cancer Res., 2005, 11:2625-2636)(非特許文献3)には、MVACによるネオアジュバント化学療法に反応する侵襲性膀胱腫瘍と非応答性腫瘍との間で発現レベルが異なる14の遺伝子が記載されている。] [0007] Sarkis et al. (J.Clin.Oncol., 1995, 13:1384-1390)(非特許文献4)には、p53遺伝子に変異を有する患者はMVACによるネオアジュバント化学療法に反応してさらによくない臨床転帰を示した、と記載されている。] [0008] Inoue et al (Clin. Cancer Res., 2000, 6:4866-4873)(非特許文献5)には、in situハイブリダイゼーションによって検出された血管新生因子の発現レベルが、外科的切除およびMVACネオアジュバント療法後の膀胱癌患者における高い再発率および転移率と相関関係にある、と記載されている。] [0009] しかしながら、膀胱切除およびネオアジュバント(術前)化学療法に対する膀胱癌患者の臨床転帰を予測するのに有用なさらなるマーカーに対する必要性が依然として存在している。] 先行技術 [0010] Bellmunt et al (Ann. Oncol., 2007, 522-528) Urushibara et al (Jpn J Clin Oncol., 2007, 37:56-61) Takata et al (Clin. Cancer Res., 2005, 11:2625-2636) Sarkis et al. (J.Clin.Oncol., 1995, 13:1384-1390) Inoue et al (Clin. Cancer Res., 2000, 6:4866-4873)] 発明が解決しようとする課題 [0011] 第1の態様において、本発明は、膀胱癌に罹った患者からの試料におけるBRCA1遺伝子の発現レベルを決定することを含んでなる、該患者の臨床転帰を予測する方法であって、該試料におけるBRCA1遺伝子の発現レベルが基準レベルと比べて低いことが良い臨床転帰を示す方法に関する。] [0012] 第2の態様において、本発明は、膀胱癌に罹った患者からの試料におけるBRCA1遺伝子の発現レベルを決定することを含んでなる、該患者がネオアジュバント療法に反応するか否かを予測する方法であって、該発現レベルが基準値よりも低いかまたは同程度の場合に、該患者はネオアジュバント化学療法による治療に反応することが予測される方法に関する。] 図面の簡単な説明 [0013] BRCA1mRNAの発現レベルが低い(≦13.57)、中間の(13.57〜26.77)、および高い(>26.77)患者の累積生存率を示すカプランマイヤー曲線である。「打ち切り」(censored)という用語は、最終転帰を観察する前のサンプルのロスを示す。] [0014] 本発明者らは、術前(ネオアジュバント)化学療法の後に膀胱腫瘍を外科的に切除した膀胱癌に罹った患者の臨床転帰が、BRCA1の発現レベルと密接な相関関係にあることを見出した。したがって、第一の態様において、本発明は、膀胱癌に罹った患者からの試料におけるBRCA1遺伝子の発現レベルを決定することを含んでなる、該患者の臨床転帰を予測する方法であって、該試料における発現レベルが基準レベルと比べて低いことは良い臨床転帰を示すものである方法に関する。] [0015] 臨床転帰の予測は、腫瘍学において用いられ、かつ当業者に公知の任意の終点測定法を用いて行なうことができる。病気の進行を記述するための有用な終点パラメータとして、以下のものが挙げられる。 −無病進行。これは、本明細書で用いるように、研究期間中に病気が再発していない、完全寛解状態の患者の割合を記述する。 −奏功。これは、本発明で用いるように、治療を受けた人の中で完全奏功または部分奏功が認められた人の割合を記述する。 −腫瘍制御。これは、本発明で用いるように、治療を受けた人の中で完全奏功、部分奏功、やや有効または6カ月以上の安定病態が認められた人の割合に関する。 −無増悪生存期間。これは、本明細書で用いるように、治療開始から最初に癌の増殖を計測するまでの期間と定義される。 −6カ月無憎悪生存率またはPFS6”率。これは、本明細書で用いるように、治療開始後の最初の6カ月間に進行がない人の割合に関する。 −生存期間中央値。これは、本明細書で用いるように、研究に参加した患者の半数が依然として生存している期間に関する。] [0016] 「膀胱癌」という用語は膀胱の腫瘍に関し、移行上皮癌、扁平上皮癌および腺癌等の膀胱癌に現れる典型的ないずれかの組織学的亜型;表在性癌、筋層浸潤性癌または転移性疾患癌等のいずれかの臨床亜型;ならびにT0〜T4、N0〜N4およびM0〜M1腫瘍等のいずれかのTMN分類を含む。] [0017] 本明細書で用いる「試料」という用語は、患者から得ることができる任意の試料に関する。本方法は、生検試料、組織、細胞または体液(血清、唾液、精液、痰、脳脊髄液(CSF)、涙、粘液、汗、乳汁、脳抽出物等)等の、患者からのあらゆるタイプの生物学的試料に適用することができる。特定の実施形態において、該試料は腫瘍組織試料またはその一部である。さらに特定の実施形態において、該腫瘍組織試料は膀胱癌に罹った患者からの膀胱腫瘍組織試料である。該試料は、医療関連分野の当業者に周知の方法を用いて、生検等の従来の方法で得ることができる。生検材料から試料を得る方法としては、塊の分割もしくは顕微解剖、または当業者に公知のその他の細胞分離法が挙げられる。さらには、腫瘍細胞は穿刺吸引細胞診により得ることができる。試料は、その保存および取扱いを簡素化するために、ホルマリン固定してパラフィン包埋するか、または、まず凍結させ、次いで急速凍結が可能になる超極低温培地への浸漬を経てからOCTコンパウンド等の低温凝固性培地に包埋してもよい。] [0018] 本発明の方法は、BRCA1遺伝子の発現レベルを決定することを必要とする。好ましい実施形態において、BRCA1遺伝子の発現レベルの決定は、BRCA1遺伝子によってコードされるmRNAの発現レベルを測定することによって行なうことができる。この目的のためには、生物学的試料を処理して、組織や細胞構造を物理的または機械的に破壊し、細胞内成分を水溶液または有機溶液中に放出し、さらなる分析のために核酸を作製してもよい。この核酸は当業者に公知の手順で試料から抽出されるが、市販もされている。次いで、当技術分野において一般的ないずれかの方法、例えば、Sambrook, Fischer and Maniatis, Molecular Cloning, a laboratory manual, (2nd ed.), Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, (1989)によって、RNAが凍結試料または新鮮な試料から抽出される。抽出プロセス中にRNAが分解しないように注意することが好ましい。] [0019] 特定の実施形態において、発現レベルは、ホルマリン固定し、パラフィン包埋した組織試料から得たmRNAを用いて決定される。mRNAは、保存用病理試料または最初に脱パラフィン化した生検試料から単離することができる。典型的な脱パラフィン法には、パラフィン化した試料を例えばキシレン等の有機溶媒で洗浄することが含まれる。脱パラフィン化した試料は、低級アルコールの水溶液で再水和してもよい。好適な低級アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、およびブタノ−ルが挙げられる。脱パラフィン化した試料は、例えば、低級アルコール溶液で、その濃度を下げながら次々と洗浄することで再水和してもよい。あるいは、試料の脱パラフィン化と再水和を同時に行なう。次いで試料を溶解させ、RNAを試料から抽出する。] [0020] 全ての遺伝子発現プロファイリングの手法(RT−PCR、SAGEまたはTaqMan)が上述の本発明の態様を実施する際に用いるのに好適であるが、遺伝子mRNA発現レベルは、多くの場合RT−PCR(逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法)で決定される。検出は、個々の試料または組織マイクロアレイ中で行なうことができる。] [0021] mRNA発現の値を異なる試料間で正規化するために、試験用試料中の目的のmRNAの発現レベルとコントロールRNAの発現とを比較することが可能である。本明細書で用いる「コントロールRNA」は、非腫瘍形成性細胞に対し、腫瘍細胞において発現レベルが変化しないか、またはほんのわずかな量しか変化しないRNAに関する。好ましくは、コントロールRNAは、ハウスキーピング遺伝子に由来し、かつ構成的に発現して必須の細胞機能を果たすタンパク質をコードするmRNAである。本発明に用いる好ましいハウスキーピング遺伝子としては、β−2−ミクログロブリン、ユビキチン、18−Sリボソームタンパク質、シクロフィリン、GAPDHおよびアクチンが挙げられる。好ましい実施形態において、コントロールRNAはβ−アクチンmRNAである。一実施形態において、相対的遺伝子発現の定量は、内在性コントロールとしてβ−アクチンを、キャリブレーターとして市販のRNAコントロールを用いて比較Ct法に従って計算した。最終結果は、2−(ΔCt試料ΔCt キャリブレーター)の式に従って決定し、式中、キャリブレーターおよび試料のΔCT値は、β−アクチン遺伝子の値から標的遺伝子のCT値を引くことによって決定する。] [0022] BRCA1遺伝子の発現レベルの決定には基準値が関連している必要があるが、この基準値は、ネオアジュバント化学療法的治療に先立って癌患者からの生検試料中の腫瘍組織を回収する際に測定される、BRCA1の発現レベルの中央値に相当している。この中央値が確定すれば、患者からの腫瘍組織に発現するこのマーカーのレベルとこの中央値とを比較することができ、よって「低」「普通」または「高」のレベルを割り当てることができる。基準レベルの元となる試料の回収物は、同タイプの癌の患者から構成されることが好ましい。いずれの場合においても、回収物に含まれる試料数は異なり得る。遺伝子試料の発現が「増加」または「減少」しているかを決定するのに用いる基準値は、ネオアジュバント化学療法的治療に先立って癌患者からの生検により得られる各腫瘍試料からそれぞれ同量のRNAをプールすることで得られるRNA試料において測定されるBRCA1の発現レベルの中央値に対応して使用される。この中央値が確定すれば、患者からの腫瘍組織に発現するこのマーカーのレベルとこの中央値とを比較することができ、よって「増加」または「減少」のレベルを割り当てることができる。特定の実施形態において、基準値の少なくとも1.1倍、1.5倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、または基準値に比べてさらにそれ以上に発現が増加している場合、発現が「増加」したと見なす。特定の実施形態において、基準値の少なくとも0.9倍、0.75倍、0.2倍、0.1倍、0.05倍、0.025倍、0.02倍、0.01倍、0.005倍、または基準値に比べてさらにそれ以下に発現が減少している場合、発現が「減少」したと見なす。] [0023] 被験者間のバラつき(例えば、年齢、人種等に関する面)により、BRCA1の絶対的な基準値を確定することは(事実上不可能とまではいかないが)非常に困難である。したがって、特定の実施形態において、BRCA1発現の「増加」または「減少」に対する基準値は、通常の被験者(すなわちNSCLCや膀胱癌の診断を受けていない人)から単離された試料群のBRCA1遺伝子の発現レベルを試験することを含む、従来の手段でパーセンタイル(percentile)を計算することにより決定される。こうして「増加」したレベルを割り当てることができるが、BRCA1遺伝子の発現レベルが通常の集団において50パーセンタイル以上、例えば、通常の集団において60パーセンタイル以上、通常の集団において70パーセンタイル以上、通常の集団において80パーセンタイル以上、通常の集団において90パーセンタイル以上、および通常の集団において95パーセンタイル以上の発現レベルの試料に対して割り当てることが好ましい。] [0024] 好ましい実施形態において、BRCA1発現値は三分位(terciles)に分割される。一例としては、リアルタイム定量PCRを用いて、シスプラチン化学療法を受けた膀胱癌患者からの51個の腫瘍生検材料におけるBRCA1mRNAレベルを決定し、その遺伝子発現値を三分位に分割した。結果が転帰(DFSおよびMS)と相関関係にある場合、BRCA1レベルが低三分位(第1三分位)(tercile 1)の患者は、高および中三分位の患者に比べて、再発リスクが有意に減少し(DFS)、生存期間が有意に改善した(MS)ことが観察された(図1および表1参照)。] 図1 [0025] 別の実施形態において、BRCA1遺伝子の発現レベルは、BRCA1タンパク質の発現を測定することにより決定される。BRCA1タンパク質の発現レベルの決定は、例えば、ELISA、ウェスタンブロットまたは免疫蛍光法等の免疫学的手法により行なうことができる。ウェスタンブロットは、あらかじめ変性条件下にてゲル電気泳動で分解し、特異的な抗体および展開系(例えば化学発光系)と一緒にインキュベーションすることにより膜(通常はニトロセルロース)上に固定化したタンパク質を検出することが基本となっている。免疫蛍光法による分析では、顕微鏡検査によって発現および細胞内局在を分析するために、標的タンパク質に特異的な抗体を使用することが必要である。通常、研究中の細胞は、あらかじめパラホルムアルデヒドで固定され非イオン洗剤で透過化処理されている。ELISAは酵素で標識した抗原または抗体を用いることが基本となっているため、標的抗原と標識抗体の間で結合体(conjugates)が形成されることで、酵素的に活性な複合体が形成されることになる。構成要素の一方(抗原または標識抗体)が支持体上に固定化されるため抗体−抗原複合体が支持体上に固定化されることになり、そのため、酵素によって例えば分光測光法または蛍光光度法で検出可能な産物へと変換される基質を添加することによって、これを検出することができる。この手法では標的タンパク質の正確な位置確認やその分子量の決定はできないが、種々の生物学的試料(血清、血漿、組織ホモジネート、ポスト核(postnuclear)上清、腹水等)中の標的タンパク質を非常に特異的に、かつ高感度に検出することができる。好ましい実施形態において、BRCA1タンパク質は、コーティングしたスライド上に固定化された生物学的試料の薄片を用いて免疫組織化学(IHC)分析によって検出される。次いでこの薄片は、パラフィン化した組織試料由来の場合には脱パラフィン化され、抗原を回収するように処理される。検出は、個々の試料または組織マイクロアレイ中で行うことができる。] [0026] 標的タンパク質の量を検出するためには、標的タンパク質に高親和性に結合することが知られているいずれの抗体または試薬を用いてもよい。とは言うものの、ポリクローナル血清、ハイブリドーマ上清またはモノクローナル抗体等の抗体;Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2、ScFv等の抗体断片;ジアボディ(diabodies);トリアボディ(triabodies);テトラボディ(tetrabodies)およびヒト化抗体を使用することが好ましい。] [0027] さらに別の実施形態において、BRCA1タンパク質発現レベルの決定は、集めた患者試料を含有する組織マイクロアレイ(TMA)を構築し、免疫組織化学の手法でBRCA1タンパク質の発現レベルを決定することによって行なうことができる。免疫染色強度は、この方法の再現性を維持するために、2つの異なる病理学者によって評価し、一律で明確なカットオフ基準を用いて記録してもよい。不一致は、同時に再評価することで解決できる。簡単に言うと、免疫染色の結果は、腫瘍細胞における発現および各マーカーに対する特異的カットオフを考慮に入れつつ、陰性発現(0)対陽性発現、ならびに低発現(1+)対中(2+)および高(3+)発現として記録してもよい。カットオフは、全般的な基準としては再現性を促進するために、可能であれば生物学的事象を解釈するために選択した。] [0028] BRCA1遺伝子の発現レベルの決定には基準値が関連している必要があるが、この基準値は、ネオアジュバント化学療法的治療に先立って癌患者からの生検試料中の腫瘍組織を回収する際に測定される、BRCA1の発現レベルの中央値に相当している。この中央値が確定すれば、患者からの腫瘍組織に発現するこのマーカーのレベルとこの中央値とを比較することができ、よって「低」「普通」または「高」のレベルを割り当てることができる。] [0029] 本発明者らは、リンパ節転移、すなわちリンパ管侵襲の程度が、BRCA1発現レベルの値とともに、シスプラチンによるネオアジュバント療法で治療されている膀胱癌に罹った患者の臨床転帰に対する予測マーカーとして使用できることも見出した。したがって、別の実施形態において、本発明の方法はリンパ節転移を測定することをさらに含んでなり、ここで、リンパ節転移が陰性である場合にそれが臨床転帰が良いことを示す。] [0030] 本明細書で用いる「リンパ節転移」(lymph node involvement)という表現は、腫瘍細胞が、腫瘍を含んだ組織の近くにあるリンパ節および血管へ広がることと理解され、当業者に公知の標準的な手順で決定される。] [0031] 別の実施形態において、本発明の方法は、腫瘍の外科的切除を受けた患者に適用される。さらにより好ましい実施形態において、臨床転帰を予測される膀胱癌に罹った患者は、術前(ネオアジュバント)療法で治療される。膀胱癌の好適なネオアジュバント療法としては、放射線療法、化学療法または化学放射線療法が挙げられる。好ましい実施形態において、ネオアジュバント療法は化学療法である。好ましくは、ネオアジュバント化学療法はシスプラチンによる化学療法であり、より好ましくは、シスプラチンによるネオアジュバント化学療法は、シスプラチン、シスプラチン−エトトレキサート(ethotrexate)−ビンブラスチン、ゲムシタビン−シスプラチン、メトトレキサート−ビンブラスチン−ドキソルビシン−シスプラチン(MVAC)、シクロホスファミド−ドキソルビシン−シスプラチン(CISCA)、ドーズデンス(dose-dense)MVAC(ddMVAC)、シスプラチン−アドリアマイシン(CA)、シスプラチン−メトトレキサート(CM)、シスプラチン−フルオロウラシル(CF)およびメトトレキサート−ビンブラスチン−エピルビシン−シスプラチン(MVEC)の群から選択される。] [0032] 本発明者らは、リンパ管侵襲の程度が、膀胱癌に罹った患者の臨床転帰の予測マーカーとして使用できることも見出した。したがって、別の態様において、本発明は、膀胱癌に罹った患者におけるリンパ管侵襲を決定することを含んでなる、該患者の臨床転帰を予測する方法に関し、ここで、リンパ管侵襲の拡大が不十分な臨床転帰を示す。] [0033] リンパ管侵襲の程度を基に臨床転帰を決定される患者は、腫瘍の外科的切除を受けた患者、好ましくは、ネオアジュバント療法で治療されている患者であってよい。好適なネオアジュバント療法は、BRCA1遺伝子の発現レベルの決定に基づいて臨床転帰を予測する方法に関連して上述したものである。臨床転帰は、上述のパラメータ(無病進行、奏功、腫瘍制御、無増悪生存期間、生存期間中央値、6カ月無増悪生存期間、全生存期間等)のいずれかを用いて測定することができる。] [0034] 本発明者らの研究結果により、BRCA1の発現と患者がネオアジュバント化学療法に反応する可能性とが相関関係にある、膀胱癌に罹った患者のための個別化治療の開発が可能になる。したがって、別の態様において、本発明は、膀胱癌に罹った患者からの試料におけるBRCA1遺伝子の発現レベルを決定することを含んでなる、該患者がネオアジュバント化学療法に反応するか否かを予測する方法に関し、ここで、発現レベルが基準値よりも低いかあるいは同程度の場合に、該患者はネオアジュバント化学療法による治療に反応することが予測される。] [0035] 「試料」という用語は既に定義されており、生検試料、組織、細胞または体液(血清、唾液、精液、痰、脳脊髄液(CSF)、涙、粘液、汗、乳汁、脳抽出物等)等の、患者からのあらゆるタイプの生物学的試料に適用することができる。特定の実施形態において、該試料は腫瘍組織試料またはその一部である。さらに特定の実施形態において、該腫瘍組織試料は膀胱癌に罹った患者からの膀胱腫瘍組織試料またはホルマリン包埋した膀胱組織試料である。] [0036] BRCA1遺伝子の発現レベルの決定は、BRCA1遺伝子によってコードされるmRNAの発現レベルを測定すること、または前述のいずれかの手順を用いてBRCA1遺伝子産物の発現レベルを測定することによって行なわれる。この値は、コントロールハウスキーピングmRNAまたはタンパク質を用いて正規化し、ネオアジュバント化学療法的治療に先立って癌患者からの生検試料中の腫瘍組織を回収する際に測定されるBRCA1の発現レベルの中央値に相当する基準値と比較しなければならない。この中央値が確定すれば、患者からの腫瘍組織に発現するこのマーカーのレベルとこの中央値とを比較することができ、よって「低」「普通」または「高」のレベルを割り当てることができる。] [0037] 本発明者らは、リンパ節転移、すなわちリンパ管侵襲の程度をBRCA1遺伝子発現レベルと組み合わせて用いて、膀胱癌に罹った患者がネオアジュバント化学療法に反応するか否かを予測する方法の信頼性を高められることも見出した。したがって、別の実施形態において、膀胱癌に罹った患者がネオアジュバント化学療法に反応するか否かを予測する方法は、リンパ節転移を測定することをさらに含んでなり、ここで、リンパ節転移が陰性である場合に、患者はネオアジュバント化学療法による治療に反応することが予測される。] [0038] 別の実施形態において、患者がネオアジュバント化学療法による治療の候補者に選ばれたら使用してもよいネオアジュバント化学療法薬は、好ましくはシスプラチンによる化学療法である。より好ましくは、シスプラチンによるネオアジュバント化学療法は、シスプラチン、シスプラチン−メトトレキサート−ビンブラスチン、ゲムシタビン−シスプラチン、メトトレキサート−ビンブラスチン−ドキソルビシン−シスプラチン(MVAC)、シクロホスファミド−ドキソルビシン−シスプラチン(CISCA)、ドーズデンスMVAC(ddMVAC)、シスプラチン−アドリアマイシン(CA)、シスプラチン−メトトレキサート(CM)、シスプラチン−フルオロウラシル(CF)およびメトトレキサート−ビンブラスチン−エピルビシン−シスプラチン(MVEC)の群から選択される。] [0039] 以下の実施例は単に例示的なものであり、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。] [0040] 方法 局所進行膀胱癌の患者51人から経尿道的切除によって得た腫瘍生検材料において、定量PCRでBRCA1mRNA発現レベルを分析した。44人の患者がcT3〜4N0M0として臨床的に病期分類され、5人の患者が所属リンパ節を有し(cTxN+)、2人の患者が遠隔リンパ節を有していた。35人の患者に、シスプラチン、メトトレキサートさらにビンブラスチンを与え、16人の患者をゲムシタビンさらにシスプラチンで治療した。BRCA1遺伝子発現は、Specht K, et al. (2001) (Am. J. Pathol., 158, 419-429およびKrafftAE, et al. (1997) Mol. Diagn. 3, 217-230によって先に記載されているように測定した。キシレンおよびアルコールを用いて標準組織試料を脱パラフィン化した後、トリス−クロリド、EDTA、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)およびプロテイナーゼKを含む緩衝液中に試料を溶解させた。次いでRNAをフェノール−クロロホルム−イソアミルアルコールで抽出し、その後、グリコーゲンおよび酢酸ナトリウムの存在下にて、イソプロパノールで沈殿させた。RNAをRNA保存液(アンビオン社;オースティン、テキサス州、米国)中に再懸濁させ、DNAの混入を避けるためにDNアーゼIで処理した。M−MLVレトロトランスクリプターゼ酵素を用いてcDNAを合成した。各遺伝子に対して特異的なプライマーおよびプローブを含む12.5−μlの反応系中のTaqman Universal Master Mix(AB;アプライドバイオシステムズ社、フォスターシティー、カリフォルニア州、米国)に、鋳型cDNAを加えた。プライマーとプローブのセットは、Primer Express 2.0 Software(AB)を用いて設計した。遺伝子発現の定量は、ABIPrism 7900HTSequence Detection System(AB)を用いて行なった。BRCA1 mRNA発現分析用のプライマーおよびプローブは、参照配列NM_007294(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/LocusLink)に従って設計した。フォワードプライマーはエクソン8(4292bp〜4317bp位置)に、リバースプライマーはエクソン9(4336bp〜4360bp位置)に、プローブはエクソン8/9ジャンクション(4313bp〜4333bp位置)に位置する。これらのプライマーと一緒に生成されたPCR産物のサイズは69bpであった。プライマーおよび5’標識蛍光レポーター色素(6FAM)プローブは以下の通りであった:β−アクチン:フォワード5’ TGAGCGCGG CTA CAG CTT 3’(配列番号1)、リバース5’ TCC TTA ATG TCA CGCACGATT T 3’(配列番号2)、プローブ5’ACCACC ACG GCC GAG CGG 3’(配列番号3);BRCA1:フォワード5’ GGCTATCCTCTC AGAGTG ACATTTTA 3’(配列番号4)、リバース5’ GCT TTA TCA GGT TATGTTGCATGG T 3’(配列番号5)、プローブ5’ CCA CTC AGC AGA GGG 3’(配列番号6)。相対的遺伝子発現の定量は、内在性コントロールとしてβ−アクチンを、キャリブレーターとして市販のRNAコントロール(ストラタジーン社、ラ・ホーヤ、カリフォルニア州)を用いて比較Ct法によって計算した。最終結果は以下のように決定した:2−(ΔCt 試料ΔCt キャリブレーター)、式中、キャリブレーターおよび試料のΔCT値は、β−アクチン遺伝子の値から標的遺伝子のCT値を引くことによって決定する。全ての実験において、Ct値の標準偏差(SD)が<0.20である三つ組のみを採用した。加えて、分析したそれぞれの試料について、ゲノムDNAの混入が無いことを確実にするために、コントロールを差し引いたレトロトランスクリプターゼを同一プレートで使用した。] 実施例 [0041] 結果 3サイクルの化学療法の中央値の後、49人の患者(96%)で膀胱切除を行なった。25人の患者(50%)で有意な病的反応(pT0またはT1)が得られた。BRCA1レベルと病的反応の間に密接な相関関係が見られた。低/中BRCA1レベルの患者の21人(65%)で病的反応が得られたが、高BRCAレベルの患者では4人(26%)のみであった(P=0.01)。無病生存期間(DFS)中央値は、低BRCA1レベルの患者17人で120カ月、中BRCA1レベルの患者17人で184カ月、高BRCA1レベルの患者17人ではわずか14カ月であった(P=0.02)。DFSの多変量解析では、BRCA1レベルとリンパ管侵襲のみが独立した予後マーカーとして現れた(表2参照)。]
权利要求:
請求項1 患者からの試料におけるBRCA1遺伝子の発現レベルを決定することを含んでなる、膀胱癌に罹った患者の臨床転帰を予測する方法であって、該試料におけるBRCA1遺伝子の発現レベルが基準レベルと比べて低いことが良い臨床転帰を示す、方法。 請求項2 前記試料が腫瘍生検材料である、請求項1に記載の方法。 請求項3 リンパ節転移を測定することをさらに含んでなる方法であって、リンパ節転移が陰性である場合にそれが良い臨床転帰を示す、請求項1または2に記載の方法。 請求項4 前記BRCA1遺伝子の発現レベルが、前記BRCA1遺伝子によってコードされるmRNAのレベルまたはBRCA1タンパク質のレベルを測定することにより決定される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。 請求項5 前記患者が腫瘍の外科的切除を受けている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。 請求項6 前記患者がネオアジュバント療法で治療されている、請求項5に記載の方法。 請求項7 前記ネオアジュバント療法が化学療法である、請求項6に記載の方法。 請求項8 前記ネオアジュバント化学療法がシスプラチンによる化学療法である、請求項7に記載の方法。 請求項9 前記シスプラチンによる化学療法が、シスプラチン、シスプラチン−メトトレキサート−ビンブラスチン、ゲムシタビン−シスプラチン、メトトレキサート−ビンブラスチン−ドキソルビシン−シスプラチン(MVAC)、シクロホスファミド−ドキソルビシン−シスプラチン(CISCA)、ドーズデンスMVAC(ddMVAC)、シスプラチン−アドリアマイシン(CA)、シスプラチン−メトトレキサート(CM)、シスプラチン−フルオロウラシル(CF)およびメトトレキサート−ビンブラスチン−エピルビシン−シスプラチン(MVEC)の群から選択される、請求項8に記載の方法。 請求項10 前記臨床転帰の予測が無病生存期間および全生存期間として測定される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。 請求項11 患者からの試料におけるBRCA1遺伝子の発現レベルを決定することを含んでなる、膀胱癌に罹った患者がネオアジュバント療法に反応するか否かを予測する方法であって、該発現レベルが基準値よりも低いかまたは同程度の場合に、該患者がネオアジュバント化学療法による治療に反応することが予測される、方法。 請求項12 前記試料が腫瘍生検材料である、請求項11に記載の方法。 請求項13 リンパ節転移を測定することをさらに含んでなり、リンパ節転移が陰性である場合に、該患者がネオアジュバント化学療法による治療に反応することが予測される、請求項11または12に記載の方法。 請求項14 前記BRCA1遺伝子の発現レベルが、前記BRCA1遺伝子によってコードされるmRNAのレベルまたはBRCA1タンパク質のレベルを測定することにより決定される、請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法。 請求項15 前記ネオアジュバント療法が化学療法である、請求項14に記載の方法。 請求項16 前記ネオアジュバント化学療法がシスプラチンによる化学療法である、請求項15に記載の方法。 請求項17 前記シスプラチンによる化学療法が、シスプラチン、シスプラチン−メトトレキサート−ビンブラスチン、ゲムシタビン−シスプラチン、メトトレキサート−ビンブラスチン−ドキソルビシン−シスプラチン(MVAC)、シクロホスファミド−ドキソルビシン−シスプラチン(CISCA)、ドーズデンスMVAC(ddMVAC)、シスプラチン−アドリアマイシン(CA)、シスプラチン−メトトレキサート(CM)、シスプラチン−フルオロウラシル(CF)およびメトトレキサート−ビンブラスチン−エピルビシン−シスプラチン(MVEC)の群から選択される、請求項16に記載の方法。
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同族专利:
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引用文献:
公开号 | 申请日 | 公开日 | 申请人 | 专利标题
法律状态:
2012-01-20| A621| Written request for application examination|Effective date: 20120119 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 | 2014-05-08| A02| Decision of refusal|Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20140507 |
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